
被せ物の近くの腫れと膿、まず知っておきたい炎症の仕組み
被せ物の近くが腫れ、膿が出た後に腫れが引くと様子を見たくなるものです。歯ぐきから膿が出る背景には、歯周病による炎症と歯の根の周囲の炎症という2つの主な原因があり、見た目だけでは区別できません。この記事では原因の仕組み、歯科での検査と治療の考え方、再発予防を順に解説します。
- 歯ぐきから膿が出る主な2つの仕組み
- 膿が出て腫れが引いても原因が残っている場合があります
- 歯科で行う診察・検査と原因に応じた治療の考え方
- 一宮市で治療後の再発予防と歯周管理を続けるために
- よくある質問
- 参考文献
- 監修
歯ぐきから膿が出る主な2つの仕組み

歯ぐきの腫れや膿は、主に「歯周病による歯ぐきの炎症」か「歯の根の先や周囲の炎症」のどちらか、あるいは両方によって起こることが考えられます12。どちらも細菌の感染が関係しており、膿は細菌と戦った白血球や壊れた組織が集まったものです。過去に神経を取って被せ物をした歯の近くでは、歯ぐきの溝と歯の内部のどちらから膿が出ているのか、腫れている位置だけでは判断しにくい特徴があります。
歯周病による炎症:歯と歯ぐきのすき間に細菌がたまる
歯と歯ぐきの境目に歯垢(細菌のかたまり)がたまると、まず歯ぐきが赤く腫れて出血しやすい歯肉炎が起こります2。この段階であれば、丁寧な清掃によって改善が期待できます2。しかし進行して歯周炎になると、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)が深くなり、内部で膿がたまりやすくなります32。当院のホームページでもご案内している通り、歯周病は激しい痛みを伴わずにゆっくり進行し、歯を支える骨が減ってしまう病気です。
歯の根の周囲の炎症:神経を取った歯の内部から起こることも
以前むし歯の治療で神経を取った歯や、根の治療をした歯でも、時間の経過とともに内部へ細菌が入り込むことがあります。その結果、歯の根の先に炎症が起きて膿の袋ができる場合があります1。根の先の膿には、通常の検査では培養しにくい細菌を含む多様な細菌が関わっているとする研究報告もあり1、内部の状態は外から見えません。たまった膿が骨や歯ぐきを通って外へ出ようとすると、歯ぐきの表面に小さな白いできもの(膿の出口)ができることもあります。
膿が出て腫れが引いても原因が残っている場合があります
膿が外へ出ると内部の圧力が下がるため、一時的に腫れや痛みが和らぐことがありますが、細菌のすみかなどの原因がなくなったわけではありません1。出口がふさがると再び膿がたまり、腫れを繰り返す可能性があります。痛みが落ち着いている時期は、かえって落ち着いて原因を調べやすいタイミングといえます。
膿がたまった部分を指や爪で押し出すのは控えましょう。歯ぐきの組織を傷つけたり、手についた細菌が入り込んで炎症を広げたりするおそれがあるため注意が必要です。気になる場合は、水やぬるま湯で軽くうがいをしてお口の中を清潔に保ち、早めに歯科医院で状態を確認してもらいましょう。
ポイント
膿が出て腫れが小さくなっても、歯の内部や歯周ポケットに原因が残っていることがあります。指で押し出さず、清潔を保って歯科で相談しましょう。
早めの医療相談が必要な症状
炎症が広がっているサインが見られる場合は、様子を見ずに医療機関へ相談してください。
- 早めの医療相談:顔や頬まで腫れている、発熱がある、痛みが強くなっている場合
- 速やかな医療相談:つばや水分が飲み込みにくい、息苦しさがある、口が開けにくい場合
夜間や休日にこれらの強い症状が出た場合は、地域の休日急病歯科診療所や救急医療相談窓口の利用を検討してください。
歯科で行う診察・検査と原因に応じた治療の考え方

原因を見極めるため、歯科ではまず「いつから腫れたか」「膿がどう出たか」「過去の治療歴」などを伺い、歯周ポケットの深さや歯の揺れ、歯ぐきの状態を調べます3。必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行い、歯を支える骨や根の周囲の状態を確認します。
| 主な原因 | 検討される基本的な治療内容 | 被せ物や歯の扱い |
|---|---|---|
| 歯周病による炎症 | 歯垢や歯石を取り除く歯周基本治療(スケーリングなど)3 | 歯の揺れや骨の状態をみて保存できるか検討 |
| 歯の根の周囲の炎症 | 根の内部を消毒・清掃する根管治療 | 必要に応じて被せ物を外して内部を処置 |
一宮市で治療後の再発予防と歯周管理を続けるために
治療によって一度炎症が落ち着いた後も、歯垢が再びたまれば歯ぐきの腫れや膿が繰り返される可能性があるため、毎日のホームケアと定期的な歯周管理の両方が大切です32。お口の健康を長く保つには、一宮市周辺でご自身の生活リズムや通勤動線に合わせて無理なく通える歯科医院を選び、継続的に状態を確認していくことが役立ちます。
当院では、患者さま一人ひとりのご希望やお口の状態に合わせた丁寧な説明を心掛けており、口腔スキャナーを用いたお口の記録や、高圧蒸気滅菌器・超音波洗浄機・ホルマリンガス滅菌器ホルホープを用いた器具の衛生管理を行いながら、生涯ご自身の歯でお食事を楽しめるようサポートしています。
夜勤のある生活でも続けやすい歯みがき・歯間清掃
交代勤務や夜勤があり、帰宅後にそのまま眠ってしまうことがある方は、ケアのハードルを下げて習慣化するのがおすすめです。夜勤明けは帰宅してすぐ、あるいは入浴時など「眠くなる前のタイミング」で、歯と歯ぐきの境目にブラシを当ててみがきましょう。デンタルフロスや歯間ブラシは、1日1回、出勤前や休日など余裕のある時間帯に固定して取り入れると続けやすくなります。なお、クロルヘキシジンなどを配合した洗口液は歯垢や歯肉炎を抑える補助として使われますが、歯みがきなどの機械的な清掃の代わりにはならないため、ブラッシングと併用しましょう2。
継続的な歯周管理で確認する内容と受診時に伝えたいこと
定期的な歯周管理では、歯周ポケットの深さや出血の有無、自分では取り切れない歯石の付着、被せ物の境目の状態などを確認します3。久しぶりに受診する際は、以下の点をメモして伝えると診察がスムーズに進みます。
- 腫れや膿に気づいた時期と、現在の痛みの有無
- その歯の神経を取った時期や、被せ物をしたおおよその時期
- 交代勤務などにより、通院しやすい曜日や時間帯の希望
まずは現在のお口の状態を知ることから始めてみてください。
よくある質問
Q. 膿が出て痛みがなくなれば、受診を先延ばしにしても大丈夫ですか?
A. 膿が出たことで一時的に圧力が下がり、痛みが引いているだけの場合があります1。歯周ポケットの奥や歯の根の先に細菌が残っていると、骨の吸収が進んだり再び腫れたりすることがあるため、痛みが落ち着いているうちに歯科医院で原因を確認することをおすすめします13。
Q. 被せ物の近くが腫れた場合、必ず被せ物を外したり抜歯したりすることになりますか?
A. 原因が歯ぐき(歯周病)にある場合は、被せ物を外さずに歯周ポケットの清掃を行うことで対応できるケースもあります3。一方、歯の根の内部に原因がある場合は被せ物を外して消毒する治療を検討します1。歯を残せるかどうかも含め、検査で骨や根の状態を確認したうえで治療方針を相談します。
Q. 定期的な歯周管理はどのくらいの間隔で通うのが一般的ですか?
A. お口の中の状態や歯周病の進行度、ご自宅での清掃状態によって異なりますが、一般的には3〜6か月に1回程度の間隔で行われることが多いです。治療後の経過を見ながら、無理なく続けられる間隔を歯科医師や歯科衛生士と相談して決めていきます。
参考文献
1. Altaie AM, Saddik B, Alsaegh MA et al. Prevalence of unculturable bacteria in the periapical abscess: A systematic review and meta-analysis. PloS one. 2021. PMID: 34351963. DOI: 10.1371/journal.pone.0255485
2. James P, Worthington HV, Parnell C et al. Chlorhexidine mouthrinse as an adjunctive treatment for gingival health. The Cochrane database of systematic reviews. 2017. PMID: 28362061. DOI: 10.1002/14651858.CD008676.pub2
3. Jervøe-Storm PM, Bunke J, Worthington HV et al. Adjunctive antimicrobial photodynamic therapy for treating periodontal and peri-implant diseases. The Cochrane database of systematic reviews. 2024. PMID: 38994711. DOI: 10.1002/14651858.CD011778.pub2
県立明和高校卒業
愛知学院大学歯学部卒業
1984年 野口歯科医院を開院
日本矯正歯科学会会員
日本成人矯正歯科学会会員
日本口腔インプラント学会会員
日本歯科審美学会会員
日本アンチエイジング歯科学会会員
浜松オルソドンティクススタディーグループ会員
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